日常つぶやきブログ

誰かの役にたつわけでもなく、何かの知識が得られるわけでもありません。自分が日々感じたこと、考えたことをまとめる場所、記録しておく場所としてブログを始めました。

【映画】精神0

想田和弘監督の「精神0」という映画を見た。

 

https://www.seishin0.com

 

82歳の精神科医の先生が、突然引退をして、認知症の奥さんと生活をする話。

 

観ようと思ったきっかけは、これ。

 

http://www.temporary-cinema.jp

 

仮説の映画館だそうだ。

 

コロナの影響で営業ができない映画館をどうにかできないかということで

 

急遽立ち上がった企画。

 

このサイトから映画を見ると、映画館にもお金が入る仕組みらしい。

 

近所の映画館も参加していて、観ることを決意。

 

私は最近まであまり映画を観ていなかったのだけど、

 

休校期間で時間があったのもあって、「映画って、おもしろ!!」と気付き、

 

同時に、本にも大手出版社と小さな出版社があるのと同じように、

 

大型書店と個人経営の書店があるように、

 

映画館にも大きな映画館と小さな映画館があることを知った。

 

(本当に、世間には知らないことが溢れている。)

 

小さな映画館が、大きな映画館では上映されないけれど、

 

素晴らしい、熱いメッセージが込められた映画を上映するかけがえのない場所なのだと知った。

 

その映画館が、ピンチなのだと。。。

 

となれば、今は映画館に少しでもお金を落とすのが私の使命なのじゃ!!

 

と、何だか半ば義務感に駆られて観賞に至った。

 

1,800円。

 

家のテレビに映し出しての鑑賞だし、

 

月額500円のAmazonプライムで映画を定額見放題!やっほーい!としている身からすれば、

 

正直ちょっとお高めね、と思う気もあったけど、

 

もういっそこれは寄付だ、くらいの気持ちでポチっとお金を払う。

 

正直、あまり下調べもなく「観察映画」という言葉だけを頼りに見始めたものだから、

 

初めは全然わけがわからなかった。

 

先生が精神科で患者さんと話をしている映像がいきなり写し出されて、

 

誰だ、この女性は・・・と思っていたら、その人が先生の奥さんだとなんとなくわかってきて、

 

頭が???となりながら、何なら手にネイルを塗りながら、片手間に観賞してたくらい。

 

なんだけど、なんか途中からいろんなことが頭に浮かび出す。

 

歳を取るって、こんなに1つのことに時間がかかるようになるのか、とか。

 

なんでこの人は、こんなに穏やかな表情で、手をずっとさすっているんだろう、とか。

 

そうよね、誰でもいいから、自分の悩みや考えを遠慮なく話せる相手って必要よね、とか。

 

私が今過ごしている時間の流れと、この人たちが過ごしている時間の流れは全然違うのかしら、とか。

 

それから、自分のひいばあちゃんとかおじいちゃんのことが思い浮かんできた。

 

私は大学から実家を離れたから、ひいばあちゃんやおじいちゃんが元気だった頃の姿しか見てなくて、

 

だんだん老いて、身体が思うように動かなくなって、死に向かっていく過程にはあまり触れずに来た。

 

おじいちゃんのお見舞いには行った。

 

その時、病院に入った時に感じたぞくっとした感覚は忘れられない。

 

生きている人がいるのに、確実に灰色のような、色あせたクリーム色のような、色のない世界だった。

 

自分が普段接している、エネルギーに満ちあふれた子供たちとは全然違った雰囲気。

 

あぁ、これが病院かと思った。

 

老いを、病を受け入れ、死の準備をする場所なのかと。

 

すごく、その場所から、逃げたくなった。

 

老いや病は、私にとって目を背けたいことだった。

 

もしかしたら、都会のお金持ちは、もっとキラキラした病院で一生を終えるのかもしれないけど。

 

でも、何だかあの重苦しい病院に行ったら、世の中の一定数の人たちが、

 

「自宅で看取りたい」という気持ちになるのがちょっとわかった気がした。

 

自分が、そしてこれから自分の親が年老いていった時、

 

私はどうしたらいいのだろうと思った。

 

今までそこにあるのは知っているけれど、目を向けていなかった世界がこの映画には広がっていた。

 

多分、この映画を見て感じることは人それぞれで、

 

その人のそれまでの人生によって、感じるものが違ってくるんだと思う。

 

Twitterでしか知らなかった想田監督のことがもっと知りたくなって、

 

夜中に想田監督の本を買った。

 

https://mishimasha.com/books/kansatsu.html

 

こんな時、やっぱりミシマ社さん、好きですってなる。

 

私の「好き」「気になる」を網羅してくれてる感じがすごい!!

 

多分、しばらくは積読本になる気がするんだけど、手元に置いておこうと思う。

 

「精神0」、観る人によっていろんな気付きがある映画。

 

映画館を救おう、という気持ちがある人、ちょっと気になる、っていう人に

 

ぜひ見て欲しい。